一般の方

放射線について

Q. 医療の中での放射線の利用について教えてください。

A. X線が発見されて間もない頃より、人体を透視できる手段として医療に応用されてきました。医療と放射線とは切っても切れない関係と言えます。放射線、放射能の平和利用としては発電と伴に最も身近なものでもあります。
 様々な機器が発達した現在でも体を傷つけることなく体内の様子を観察出来、治療に取りかかる前の正確な診断や治療後の経過観察に貢献しています。
 X線写真、CTの様に体の外から放射線で体を透かしてみる方法、PETの様に体内に微量の放射性物質を投与してみる方法があります。病気や検査の目的によって使い分けています。

放射線科について

Q. 放射線科医ってなに?

A. 患者様に質の高い医療を提供すべく、さまざまな分野に特化した医師が増えつつあります。ここ数年、我が国でもテレビや新聞で放射線科医という言葉がよく使われるようになりました。放射線科医とは放射線や磁気を利用することで患者様の医療に貢献する医師のことで、画像診断の専門家である画像診断医、腫瘍の放射線治療を行う放射線治療医に大別されます。


Q. 画像診断医は何をするの?

A. 皆さんは健康診断などで胸のX線写真を撮影したことはないでしょうか?その写真を正常か異常か、異常ならどこに何があって、どんな病気が考えられるのか?そして診断を早く安全に確定させるために、次に行うべき検査は何か?私たちはこれらを画像のプロとして解析、診断(読影)し、画像診断報告書にまとめて主治医に伝えます。すなわち主治医が見る画像に専門医としての意見を加えることで、画像診断医はfail safe(二重の安全装置)としての役割を果たしています。

Q. 仕事は胸部X線だけ?

A. いいえ。当科の画像診断医は全員、教育認定機関での卒後研修を受け、放射線科専門医資格試験に合格しています。頭のてっぺんから足のつま先まで、全身のX線写真はもとより、CT、MRI、PETなどの核医学検査など院内で発生する全ての画像検査の読影(500-600件/日)、さらに独自開発システムによる読影室内での遠隔画像診断も行っています。
 スタッフはそれぞれ亜専門領域(得意分野)を中心とした教育、研究にも励んでいます(興味のある方は“医局員紹介”をご参照ください)。画像診断を応用した低侵襲局所治療(インターベンショナル・ラジオロジー:IVR)も特色の一つです。


Q. インターベンショナル・ラジオロジーってなに?

A. Interventional Radiology:IVRとは、画像診断医による画像誘導下で低侵襲の治療法で、ほとんどの手技は局所麻酔で施行できます。麻酔したところから細い管(カテーテル)を挿入し、カテーテルの先端位置を画像で確認しながら目的部位まで誘導し治療を行います。手術や全身麻酔のできない患者様にも施行でき、傷跡もほとんど残りません。全身のmalignant tumorの動注化学療法はもとより、非血管系のIVRも幅広く行っており、経皮的椎体形成術は厚生労働省より先進医療の認定を受けています。

Q. 放射線治療っなに?

A. 集学的治療という言葉をご存じですか?手術、化学療法、IVRなどさまざまな治療を組み合わせ、患者様に最良の結果を提供できるよう、関連各科の専門家が協力して治療にあたることです。放射線治療も集学的治療の重要な一翼を担っており、もっぱら放射線を照射することで患者様の治療に尽力するのが放射線治療医です。現在は定位照射という技術も確立し、正常組織への放射線によるダメージをできるだけ抑えながら、十分量の放射線を病変部に照射することも可能となっています。

放射線治療について

Q. 放射線治療とはどんな治療ですか?

A. 「悪性細胞」と「正常細胞」の違いを利用して治療を行うものです。「正常細胞」の放射線によるダメージからの回復を待って機能を維持するため、約1-2ヶ月掛けて治療をします。Stereotactic Radiotherapy: SRT(定位放射線治療)などのように狭い範囲に高い線量を短期間に集中させる治療もあります。この治療は腫瘍が狭い範囲に集まっている小さな脳転移などで使用します。

Q. どんな病気が対象になりますか?

A. 悪性腫瘍であればほぼ総ての疾患が対象となります。ただし、腫瘍があまり広がっていない状態がよい適応です。骨転移や副腎転移、傍大動脈リンパ節転移など転移性腫瘍のコントロールもよく行なっております。脳動脈奇形や術後のケロイド予防などにも利用されることがあります。

Q. 放射線治療の利点と欠点を教えてください?

A. 利点は腫瘍がどこにあっても治療できることや機能と形態を損ないにくいことです。放射線は単独で治療するだけでなく、手術、化学療法などと組み合わせて行うことも可能です。
 欠点は比較的長い期間が掛かることと、照射した部位にしか効果がない、逆に言えば、全身転移などで腫瘍が広範に広がっているときには治療できないことです。

Q. 放射線治療でよく誤解されるのはどんな点ですか?

A. 日本では原爆のイメージがまだ強いため治療を受けると体がぼろぼろになるとか皮膚が焼け爛れてしまう、とか思っておられる方がまだおられますが、局所的な放射線治療は比較的安全な治療です。照射部位以外には影響はないので、頭に照射しなければ髪が抜けることもありませんし、胸に照射して腹痛が出ることも有りません。皮膚が赤くなるなど日焼け程度の副作用が見られるだけです。